
クビアカツヤカミキリの被害木は、伐採して終わりではありません。根や切り株にも幼虫が残り、伐った木を置いておけば、翌年そこから成虫が出てきます。この記事は、被害が出たサクラ・ウメ・モモを伐採するときに、伐る前に決めておくことの記録です。国の防除戦略と、森林総合研究所などがまとめた防除マニュアルをもとに、伐採の現場の順番に並べ直しました。
この記事でわかること
- クビアカツヤカミキリの被害木を、伐るか残すかの決め方
- 伐採は、なぜ9月から翌4月のあいだに終えるのか
- 根と切り株、伐った木をどう処理するか
- 伐らずに残す木にできること
クビアカツヤカミキリの被害木 伐採の要点
| 狙われる木 | サクラ・ウメ・モモ(ハナモモを含む)・スモモ・プルーン・アンズ |
|---|---|
| 見つける手がかり | フラス(幼虫が幹から押し出す、木くずとふんの混じったもの) |
| 伐採の時期 | 伐って、運んで、処理するまでを9月から翌4月のあいだに終える |
| 根と切り株 | 根ごと抜く。抜けないときはシートで覆うか、モルタルで固める |
| 伐った木 | 成虫が出てくる前に、破砕・焼却(施設で)・燻蒸のどれかで処理する |
| してはいけないこと | 伐った木を置いたままにする。野焼きする |
| 伐らずに残す木 | 成虫が出る時期(5月末ごろからお盆ごろ)に、幹へ網を巻く |
出典は、森林総合研究所などのクビアカツヤカミキリの防除法(2022年)と、2026年9月11日に国の対策本部が決めたクビアカツヤカミキリ防除戦略です。
クビアカツヤカミキリの被害木を、伐るか残すか
国の防除戦略は、被害木について、伐倒・伐根等を基本とすることが重要、と書いています。木を伐って、根まで処理するのが基本、ということです。
伐らずに済むのは、中の幼虫が少ないときです。防除マニュアルには、幼虫が少なければ、フラスの出る穴から幼虫を1匹ずつ掘り出す方法や、登録された薬を幹に注入する方法が書かれています。
反対に、伐るしかない木もあります。マニュアルには、1本の木に10か所を超える穴があき、大量のフラスが出るような木は、伐倒する以外の選択肢はない、とあります。被害の激しい木は、枯れていなくても、翌年の花や実を待たずに伐倒駆除するべき、とも書かれています。中が傷んでいて、薬が届かない場所が増えるためです。
大事にしてきたサクラほど、伐る判断は重くなります。剪定屋空は、木を残せる道があるならそれを先にお伝えします。そのうえで、ご近所の木へ広げてしまうおそれがある木は、伐ることをおすすめします。
クビアカツヤカミキリの被害木の伐採は、9月から翌4月に
クビアカツヤカミキリは特定外来生物です。生きたまま運ぶことは、原則として法律で禁じられています。では、幼虫が中にいる木を伐って運び出してよいのか。
防除マニュアルによると、幼虫が木の中にとどまっている9月から翌4月までは、伐って運び、破砕などで処理することは、法律でいう運搬には当たらない、とされています(2019年3月の環境省の通知による)。それ以外の時期に動かすときは、しっかり梱包するか、閉じた荷台の車に積むなどの手当てが要ります。
だから伐採の日程は、落葉期の冬に組むのがいちばん無理がありません。国の戦略も、伐った木は成虫の出る時期(4月ごろ)までに処理する、としています。

根と切り株を残さない
ふつうの伐採なら、切り株を残すか、根ごと抜くかはお客様が選べます。クビアカツヤカミキリの被害木は違います。
国の戦略には、根や根に近い部分にも幼虫がいる可能性があるので、伐倒のときは根株と根を取り除くか、資材で根を覆うか、モルタルなどで固める、と書かれています。地面に出ている根は幼虫が好むので、それも取り除くか覆うように、とあります。
マニュアルも、被害木はできるだけ低い位置で伐り、切り株は抜根して取り除くか、ブルーシートで覆うか、モルタルで固める、としています。切り株の扱いのふつうの考え方は、四日市市の抜根|切り株を残すか、根ごと抜くかに書いています。
伐った木を、どう処分するか
伐った木は、そのまま置いておくと、翌年の成虫の出どころになります。マニュアルの言い方では、まだ中に幼虫がいる丸太を野外に放置することは大変危険です。処理の方法は3つです。
- 破砕/チップにする工場などで細かく砕く
- 焼却/焼却できる施設で燃やす。野焼きは廃棄物の法律で原則禁止です
- 燻蒸/丸太を1mほどにして積み、シートで覆って、登録された薬で燻蒸する
どこで焼けるか、どこで砕けるかは、地域によって違います。マニュアルは、すでに伐倒駆除をしたことがある近くの管理者から、処理の方法を聞いておくとよい、としています。伐採の日を決める前に、運び先と処理の方法を決めておくことが、いちばん大事な段取りです。
伐らずに残す木は、網を巻く

幼虫が多くて駆除しきれず、伐ることもすぐにはできない木には、成虫をほかへ飛ばさないための網巻きがあります。マニュアルに書かれているやり方はこうです。
- 巻く時期は5月末ごろ、外すのはお盆ごろ
- 胸の高さから地面まで、幼虫の穴が多い幹の下のほうを覆う
- 幹にぴったり沿わせない。成虫が網をかみ切って逃げるため、幹とのあいだにすき間をあける
- 上はひもで留め、下はスカートのように広げて、地面にペグで固定する
- 網の目は4mm程度まで。糸が太めのほうが、かみ切られにくい
網は、木を守るものではなく、外へ広げないためのものです。被害が激しい木では、網の届かない高い枝からも成虫が出るので、防ぎきれないとも書かれています。
伐ったあとに植える木
マニュアルは、伐ったあとに、またクビアカツヤカミキリの好む木を植えることはすすめていません。並木などではバラ科以外の木に植え替えると、防除を続けずに済む、とあります。若い木は被害を受けにくいので、植えてすぐ被害にあうおそれは少ないものの、地域にこの虫がいるかぎり、育てばまた狙われます。
剪定屋空が学んできたこと
剪定屋空の代表は、2024年11月13日に、日本花の会が主催するサクラ保全管理講座をオンラインで受講しました。栃木県足利市の松島一司氏から、クビアカツヤカミキリの防除の現場の報告がありました。ピアノ線をかぎ状に曲げて幼虫を掻き出す方法や、成虫が出てくる穴をふさぐ資材の使い方などです。講座の記録はサクラ保全管理講座 クビアカツヤカミキリ防除対策にあります。
よくあるご質問
Q. 庭のサクラの根元に木くずがたまっています。まずどこに連絡すればいいですか。
お住まいの市町村か、都道府県の担当の窓口です。国の戦略でも、市町村は住民からの発見の情報を集める役目を担う、とされています。三重県にお住まいなら、三重県の特定外来生物クビアカツヤカミキリに関する情報のページを見てください。
Q. 被害木の伐採は、誰がやるものですか。
国の戦略では、防除は、その木や土地を持っている人、管理している人が行うことが基本とされています。私有地の木も、まず持ち主の方の対策が基本です。伐採や根の処理を業者に頼む場合も、処理の方法と運び先を先に確かめてから日程を決めてください。
Q. 伐った木を、薪にしたり庭に積んでおいたりしてもいいですか。
おすすめしません。中に幼虫が残っていれば、翌年そこから成虫が出てきます。成虫が出る前に、破砕・焼却・燻蒸のどれかで処理してください。
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ふつうの伐採での、切り株の扱い
クビアカツヤカミキリの被害が疑われるサクラ・ウメ・モモの伐採は、剪定屋空までご相談ください。三重県北部を中心に、四日市市・鈴鹿市・桑名市・菰野町ほかで承っています。木を残せる道があるか、伐るならいつ、どこへ運び、どう処理するかまで、メリットとデメリットを合わせてご説明します。

