三重県四日市市尾上町の日本庭園で、庭の年間管理を行っています。明治33年(1900年)に建てられた邸宅の庭で、広さは約1,500平方メートル。2023年から定期管理に入り、2026年で3年目になります。
この記事は、年間管理という仕事が実際に何回入り、どの月に何をしているのかの記録です。剪定を年に一度だけ頼む場合と何が違うのかを、作業日ごとの記録から並べます。

【四日市市】日本庭園 年間管理の施工データ
| 施工地 | 三重県四日市市尾上町(四日市港に隣接) |
|---|---|
| 対象 | 日本庭園付き施設(YOKKAICHI HARBOR 尾上別荘様) |
| 庭の成立 | 明治33年(1900年)頃。2026年で約126年 |
| 面積 | 約1,500平方メートル |
| 管理開始 | 2023年。2026年で3年目 |
| 年間の訪問回数 | 2025年は23回(管理報告書で確認できる作業日) |
| 基本の体制 | 2名・1日。高木剪定日は4名。夜間作業は2名・1時間30分 |
| 主な樹種 | 黒松、カシ、ウバメガシ、モッコク、モチノキ、タブノキ、クロガネモチ、カクレミノ、モミジ、オオシマザクラ、サルスベリ、ツツジ、サツキ、オカメザサ、苔 |
| 庭の構成 | 竹の庭、茶の庭、雑木の庭、砂紋のエリア、苔と白砂利のエリア、園路・飛び石・石灯籠 |
| 使用機材 | 脚立、ツリークライミング用ロープ、クレーン車、機械除草機、竹ぼうき、手道具 |
診断:3年前、この庭に何が起きていたか
初めて入ったとき、木は生きていました。ただ、庭全体が暗く、木に元気がありませんでした。石灯籠の周りに落ち葉が積もり、苔はほとんど残っていませんでした。低木の葉は黄色くなり、砂利の目地から雑草が伸びていました。
原因は地上ではなく地面にありました。人が通る場所の土が踏み固められ、石のように硬くなっていたのです。根が広がれず、水が抜けない。そうなると土の中の菌根菌が働かなくなります。葉の色が悪いのは、その結果として最後に出てくる症状でした。


年間管理の12ヶ月。実際に入った日と作業
2025年から2026年の管理報告書から、月ごとの作業を並べます。回数が多い月と少ない月があるのは、庭の状態と施設の予約状況で日を決めているためです。
| 月 | 主な作業 | なぜこの月か |
|---|---|---|
| 1月 | 庭園全体と外周の落ち葉清掃、樹木根元への寒肥、高木松の剪定、オカメザサの高さ調整と古葉除去、枯れ竹の撤去 | 葉が落ちて枝の形が見える時期。松は樹液の動きが止まっているので負担が小さい |
| 2月 | 笹の刈り込みと古葉取り、雨樋掃除、樹木全体への施肥(グリーンパイル・玉肥料・バイオチャコール)、モミジ下への敷きわら、ライト周りへの松葉敷、機械除草と手取り除草、低木への消毒 | 春に向けた下地をつくる。強く効かせるのではなく、崩れない土にしておく |
| 3月 | 松の菰巻き撤去、松のツリークライミング剪定、カシの脚立剪定、クレーン車での外周越境枝と枯れ枝の除去、手水鉢に季節の花 | 啓蟄の前後に菰を外す。芽が動く前に高木の骨格を決める |
| 4月 | 土中灌注、庭園全体の手取り除草と機械除草、中低木への消毒、除草剤散布、駐車場入口の石畳の簡易補修、夜間ライトアップの調整 | 根が動き出す時期に土へ空気と水を入れる。ツツジとシランの開花期 |
| 5月 | 手取り除草、レストランから見える範囲の樹木の軽剪定、ウバメガシ生垣の軽剪定、消毒散布、砂利部分への除草剤 | 伸びが最も速い月。見える場所から先に整える |
| 6月 | 手取り除草、苔の上の手ぼうき掛け、砂利の移動(苔を広げるため)、樹木の枝打ち、消毒と除草剤 | 梅雨で苔がいちばん動く。この時期に砂利を少しずつ動かすと苔が入ってくる |
| 7月 | 手取り除草、生垣の徒長枝外し、低木の軽剪定、モッコクへの消毒、落ち葉清掃 | 徒長枝は放つと樹形が崩れる。夏の来客期は清掃を優先する |
| 8月 | レストランから見えるクロガネモチの剪定、立ち枯れ木の伐採、機械除草と手取り除草、消毒散布 | 枯れた木がはっきり分かる季節。暑さで弱った低木の処置も行う |
| 9月 | モチノキ剪定、ウバメガシ生垣の徒長枝外しと胴吹き処理、雑木のひこばえ外し、バイオチャコール施肥 | 夏の伸びを整えて風通しを戻す。秋の施肥で冬に備える |
| 10月から11月 | 危険木と立ち枯れ木の伐採、枯れ竹の除去、モチノキ剪定、落ち葉清掃 | 落葉が始まる前に危ない木を下ろす。台風の後の点検も兼ねる |
| 12月 | 庭園全体の清掃、施肥、松への菰巻き、松葉敷 | 冬支度。菰巻きは駆除だけが目的ではなく、冬の点検として位置づけている |
通年で続けるのは手取り除草、落ち葉清掃、苔の管理の3つです。季節でしか行わないのが、砂紋(夏)、菰巻きと松葉敷と寒肥(冬)、消毒(初夏)、ロープを使う高木剪定(春から夏)になります。
単発の剪定と年間管理は何が違うか
| 年に一度の剪定 | 年間管理 | |
|---|---|---|
| 1回で切る量 | 多い。1年ぶんの伸びをまとめて落とす | 少ない。前回からの伸びだけを整える |
| 木への負担 | 大きい。切り口が多く、徒長枝が出やすい | 小さい。切り口が小さく、樹形が安定する |
| 樹形の方針 | その日の判断で決まる | 2年目以降、木ごとに方針が決まっていく |
| 異常の発見 | 手遅れになってから気づく | 枯れ始め、水切れ、病気を早い段階で見つけられる |
| 土の状態 | 手を入れる機会がない | 施肥、灌注、マルチングを季節に合わせて重ねられる |
| 3年目の姿 | 毎年、元の状態に戻る | 切る量が減り、庭が落ち着いてくる |
年間管理で費用が増えるように見えるのは、訪問回数が多いからです。ただ1回あたりの作業量は少なくなります。3年目には切る量そのものが減りました。木が暴れなくなるからです。
苔庭に機械を入れない理由
この庭で最も時間がかかるのは、苔の上の作業です。苔に落ちた砂利は機械で処理できません。手で、一粒ずつ取ります。硬い道具を当てると苔は死んでしまうため、体を低くして進めます。1平方メートルに30分かかることもあります。
これは効率が悪いのではなく、この面に対して選べる方法が他にないという話です。苔は一度失うと、戻すのに何年もかかります。

土の硬さを数字で確かめる
2026年4月7日、専門機関による土壌診断と、土中灌注600リットルの施工を行いました。灌注に使ったのはフルボ酸とメネデール、そして木炭粉炭です。エントランスのサツキ周辺だけは木炭粉炭を入れていません。
土壌分析では、土の仮比重が1.78という値でした。健全な土の目安が0.90から1.10なので、石に近い硬さということになります。
灌注の前後に、山中式の硬度計で縦穴3層を測りました。
| 計測箇所 | 層 | 灌注前 | 灌注後 |
|---|---|---|---|
| 石灯籠前の松の周辺 | 表層 | 18mm | 18mm |
| 石灯籠前の松の周辺 | 中層 | 18mm | 3mm |
| 石灯籠前の松の周辺 | 深層 | 18mm | 3mm |
| 枯池の中 | 表層 | 17mm | 11mm |
| 枯池の中 | 中層 | 11mm | 2mm |
深い層は18mmから3mmまで軟らかくなりました。一方で表層は変わっていません。人が歩く踏圧は、灌注だけでは戻らないということです。枯池は灌注後も水が溜まりました。ここは排水層の造成が次の課題として残っています。
数字にする理由は、庭の変化が遅いからです。緑が濃くなったという感覚だけでは、施主様に何が起きたのかを説明できません。
四日市市尾上町という場所
この庭は四日市港のすぐ横にあります。海岸沿いの沖積地で、塩分を含んだ潮風が常に当たる立地です。葉先が枯れやすく、土に塩分が溜まりやすい条件がそろっています。
それでも明治期の木々が126年生き続けています。港のそばという条件の中で、木の根がその環境に合った付き合い方を作ってきたということだと考えています。
通い続けたから分かったこと
この庭のオオシマザクラには、根元から白い葉のひこばえが出ています。葉緑素を作れない変異です。自分で光合成ができないのに、2026年4月、白から薄いピンクの花を咲かせているのを確認しました。親木の根から糖と開花のホルモンを受け取っているためです。
2025年11月には、コノハズクが庭に飛来しました。同じ年に、駐車場花壇のサルスベリの下でツツジが枯れ始めていることにも気づきました。暑さによる水切れの可能性が高いと見て、枯れた部分を外し、新芽が出る処置をしています。
どれも、年に一度入るだけでは見えないものでした。3年目の春に、庭の緑が濃くなったと感じました。地上の変化は、地下の変化の後を追ってきます。

四日市市の庭園管理 施工事例
- 四日市市の日本庭園定期管理。3年の庭手入れでどう変わったか この庭の3年間を、土壌診断の結果まで含めてまとめた本編
- 明治から続く庭に春の手入れを 松のツリークライミング剪定とクレーン車での越境枝処理を行った春の作業日
- 冬支度のお手入れ。清掃・施肥・菰巻き、そして松葉敷 12月の作業。菰巻きを点検として位置づけ直した回
- 秋の庭園管理。危険木の伐採とコノハズクの飛来 立ち枯れ木を下ろした11月の記録
- 四日市市 お庭全体の定期管理。松・梅・金木犀・カイヅカイブキの剪定 同じ四日市市で、個人邸の定期管理を行った例
四日市市での他の作業記録
同じ四日市市で行った、伐採と抜根の記録もあります。年間管理の中でも、枯れた木を下ろす作業と切り株の処理は毎年出てきます。
- 四日市市の伐採。庭木・松枯れ・立ち枯れの施工事例8選と進め方 立ち枯れと松枯れの見分け方をまとめた記録
- 四日市市の抜根。切り株を残すか、根ごと抜くか 伐採した後の根をどう扱うかの判断
よくあるご質問
年間管理は年に何回入るものですか。
庭の広さと樹種で変わります。この庭は約1,500平方メートルで苔と砂紋があるため、2025年は23回入りました。一般的な個人邸であれば年4回から6回が目安になります。回数はご相談のうえで決めます。
年間管理のほうが費用は高くなりますか。
1年で見ると訪問回数が多いぶん増えます。ただ1回あたりの作業量は減っていきます。3年目には切る量そのものが減りました。単発の剪定を毎年続ける場合と比べて、年あたりの差は思ったほど大きくなりません。庭を見せていただいてからお見積りします。
途中でやめることはできますか。
できます。契約で縛るものではありません。ただ、土の回復は数年かかる仕事なので、途中で止めると元に戻ることは正直にお伝えしています。
自分でできる部分はありますか。
あります。落ち葉の掃除と、手で抜く除草は施主様がやってくださると庭が目に見えて良くなります。実際、ご自身で手を入れている庭は輝いて見えます。危険がある高木の作業と、苔庭の細かい作業だけをこちらで引き受ける形も可能です。
四日市市で庭の年間管理をお考えの方へ
剪定屋空は三重県菰野町を拠点に、四日市市・鈴鹿市・桑名市・いなべ市・亀山市・津市などで庭の年間管理を行っています。個人邸から、施設の緑地、日本庭園まで対応します。
一度きりの剪定ではなく、通い続けること。その庭の変化を記録し続けること。土が戻るのを一緒に待つこと。それが剪定屋空の考える庭の手入れです。
この庭の3年間の全記録は、本サイトの記事にまとめています。四日市市の日本庭園定期管理。3年の庭手入れでどう変わったかもあわせてご覧ください。
お庭のご相談は剪定屋空の公式サイトから承っています。
