三重県亀山市の法因寺様から、竹林の手入れをご依頼いただいたのは2020年のことです。真竹が90パーセント以上を占める過密な竹林でした。
最初に見に行ったとき、入れませんでした。
枯れた竹が斜面に折り重なり、地面が見えない。林床はほぼ裸地で、土は乾いて痩せ、雨のたびに表土が流れる。見通しが悪いので、不法投棄も呼んでいました。
あれから6年目です。
最初に伐ったのは、生きた竹ではありません
2020年1月、手入れの初日にやったのは枯れ竹の清掃でした。翌日には大方の整理が終わっています。
竹を減らす前に、まず入れるようにする。作業道を確保する。
順番があります。
全部伐ってください、と言われることが多い
竹林の依頼で、いちばん多い入口がこれです。
気持ちは分かります。増えつづける竹を見ていれば、一度で終わらせたくなる。
ただ、一度で伐りきることはしていません。
一気に伐ると、翌年もっと出てきます
竹は地下茎でつながっています。地上の稈を伐っても、地下茎が残っていれば、そこから新しい芽が出ます。
広島大学の博士論文に、モウソウチクを全面伐採して放置した2年間の追跡があります。1年目は極めて細く低い稈が多数発生。2年目は太さと高さがやや戻り、本数は半減。そして2年目までに、高木層を作れる木本の侵入はありませんでした。再生した稈が、他の種を被陰していたためです。
論文の結論はこうです。何もしなければ、再び竹林に戻る可能性が高い。
もう一つ、地下茎に関わる話があります。竹の地下茎と根の発達層は、表層50センチ程度に限られます。これを上回る規模の土砂崩れに対しては、防災上の役に立ちません。竹林があるから斜面が安全、とは言えないということです。
だから、年15〜20パーセントずつ
法因寺様の竹林では、毎年15〜20パーセントずつ減らしています。10アールあたり350〜400本から、250本へ。
一気に光を入れない理由は2つあります。
1つは、いま書いた地下茎の萌芽。もう1つは、草です。急に明るくすると、下草が猛烈に茂って、育ちかけた広葉樹の幼木が埋もれてしまう。
先ほどの論文も、同じ結論を出しています。林内の光条件を改善し、他種を侵入させてから伐採する。
うちがやっている順番が、そのまま学術的な結論と重なっていました。
伐る竹の選び方
最初に外すのは、枯れ竹と立ち枯れです。次に、混み合っている部分。
生きた竹から選ぶときは、ほうき状の枝がついているものを優先します。この形は樹勢が落ちているしるしで、病気の広がりにも関わります。間引きと病気の防除が、同じ作業になるということです。
伐ったあとは、林床に光が届きます。ここから下草が戻りはじめます。
竹の処分は、自治体で違います
ただ、竹は通常の可燃ごみで出せない自治体が多く、剪定枝の回収に出せるかどうかも市町ごとに違います。お住まいの自治体のごみの案内で確認するか、こちらで処分まで承ります。
量が多いので、搬出経路が確保できるかどうかが、作業の段取りを大きく左右します。
6年目の姿
毎年少しずつ竹を減らし、下草の様子を見ながら次の年の量を決めています。
2026年9月。裸地だった林床に、いま下草が広がっています。コドラート(5メートル四方の調査区)を置いて数えると、13種を超える植物が確認できました。
2025年10月、この竹林は亀山市から「かめやま生物多様性共生区域」に認定されました。過密な竹林を皆伐するのではなく、光と風と生きものが動ける場所として整えていく。その継続が評価されたものです。
2026年には竹林の中に定点カメラを置きました。47日間で24回、動物が写っています。アライグマ、タヌキ、ニホンザル、ノネズミ、キジバト。動物が来るということは、餌になる下草と虫が戻ってきたということでもあります。
何年かかるか
1回で終わる仕事ではありません。
竹は3か月ほどで成竹になり、成長期には1日に1メートル以上伸びることもあります。相手のペースがそれなので、こちらも年単位で組みます。
法因寺様の竹林は、2020年から6年目です。まだ途中です。
よく聞かれること
伐ったらまた生えてきますか、と聞かれます。生えてきます。地下茎が残っているためです。1回で終わらせようとせず、毎年少しずつ減らしながら、他の木が育つのを待ちます。
全部伐ってしまいたい、という相談もあります。できます。ただし伐りっぱなしにすると、数年で竹林に戻る可能性が高いことをお伝えしています。そのうえで、皆伐を選ぶか段階的に進めるかを一緒に決めます。斜面の場合は、土留めになる樹木が育つまで竹を少し残すという選び方もあります。
隣の敷地から竹が入ってくる、という相談が多いです。地下茎は年に0.5〜1メートルのペースで横に広がります。境界に沿って地下茎を切る、あるいは遮根板を入れるという方法があります。越境した竹の扱いは2023年4月に民法が変わっているので、現地を見て一緒に考えます。
現地確認とお見積りは無料です。
剪定屋空 059-340-7479(8:00〜18:00)

